小説を売るための3つのルート

f:id:yourstation:20160112183024j:plain

 

 前回は小説を書くための3つの工程について記した。今回は書き上げた小説を発表する手段について書いてみたい。せっかく小説を書いたのだから、多くの人に読んでもらいたいと思うのは当然のことだ。ネット環境が整う前、アマチュアが小説を発表しようとすれば、自費出版という形で百万単位の自腹を切るしかなかった。実際に本という形になるので自腹を切っただけの満足感は得られるが、さすがに金銭的ハードルは高く、余裕のある年配者が旅行記や自分史を出すというのが定番だった。今は本当に素晴らしい時代で、紙の本という形ではないが簡単な登録で誰でも発表することができる。今出版自体は斜陽産業と言われているが、電子出版はスマホなどの普及もありこれからのジャンルだ。人気が出て、結構なお金になっている人もいるようだ。

電子書籍の市場規模
2011年           651億円
2012年           768億円
2013年         1013億円
2014年         1411億円
2015年         1890億円
2016年予測  2350億円  『電子書籍ビジネス調査報告書2015』より

目的はお金ではないとはいえ、対価を払って読んでもらうことほど嬉しい事はない。さらに人気が出たことで、結果的に出版される可能性もある。今の時代、チャンスは結構そのへんに転がっている。
 

大まかに言って3つのルートがある。具体的にどういう手段があるのか見ていこう。


1.投稿サイト

 小説やコミックなど創作物をアップロードして販売できるサイトは多くなったが、それぞれ特徴があるので、自分が得意な分野に特化したサイトを見つけたい。無料で気軽に始められるので、ちょっとした短編など、何気なく書いたものが注目を浴びるかもしれない。すでに書籍化、映画化などブレイク作家を多く輩出している。
 

 

 E エブリスタ

 http://estar.jp/.pc/

 会員登録 : 無料 

 ジャンル : 小説 コミック イラスト エッセイ 俳句 レシピ  

 書籍化実績: 300冊以上 小学館 講談社ほか

DeNAとNTTドコモとの共同出資会社による小説・コミック投稿コミュニティ。無料・有料の選択ができ、販売の場合はロイヤリティ60% 
主力は サバイバル系ホラー、恋愛小説 ミステリー 中高生~20代向けが多い印 象。スマホで読む前提なので、いわゆるケータイ小説のフォーマットが基本。縦書き 対応。書籍化され、500万部超の大ベストセラーとなった『王様ゲーム』もここでま ず無料連載された。また普通の主婦が書いた小説が人気を博し、月100万円を売り 上げている。上記の3ジャンルのどれかに自信があれば、試してみる価値はある。

 
 
 パブー  

 http://p.booklog.jp/

 会員登録 : 無料

 ジャンル :小説 ノンフィクション コミック エッセイ 写真 絵本 ビジネス

ブログ感覚で書いて、電子書籍作成、無料配布・販売ができるサイト。販売の場合、一冊ごとに30%の手数料が発生する。PDF ePub形式対応。横書きのみ。利用者は 多様であまり偏りがない感じだ。気負わずに書き溜めて、ある程度のボリュームになったら販売してみる、というお手軽さがいい。入院日記や、子育てノウハウなど、ブログをそのまま電子書籍にする人も多い。さらにパブープロ版(月額540円)に申し込めば、「ストア連携」機能によりパブーに投稿しているオリジナル小説をその まま「キンドル・ダイレクト・パブリッシング(KDP)」などで販売可能だ。佐々木俊尚や内田春菊、ブラックジャックによろしくの佐藤秀峰といった著名人も利用している。


 note

 https://note.mu/

 会員登録 : 無料

 ジャンル : まんが コラム 小説  写真  音楽

シンプルでスタイリッシュ。クリエイター心をくすぐる。ブログ感覚で書き進め、任意の場所から課金してもらうように設定する〈100円~1000円)ファンとのや りとりもでき、ツイッターとブログと販売のハイブリッドという感じ。平野啓一郎(小説家)くるり(音楽グループ)なども利用している。

 

 ブックスペース
 https://www.ebksp.jp/

 会員登録  : 無料
 ジャンル  : 小説 マンガ ビジネスほか

ワードファイル推奨(word2003、word 2010、word 2013)ゴマブックスによる電子 出版ポータル。アマゾンのkindleストア、楽天kobo電子書籍ストア、アップル社の  iBooksに配信される。販売価格の上限は3000円 ロイヤリティは Kindle15% iBooks43%  Kobo40%  ビジネス系が強い印象。

 

 

 Kindle ダイレクト・パブリッシング                       https://kdp.amazon.co.jp/

 会員登録 無料

 ジャンル :オールジャンル

アマゾンが2012年に開始した電子書籍販売のプラットフォーム。
HTML、ePub、XMDF形式に対応している。縦書き対応。
出版は無料でアマゾンKindleストアで販売される。
ロイヤリティは35% 70%の二種類で希望販売価格によって決まる。日本の場合、70%を選択できるのは最低希望販売価格が250円以上1250円ま で30%は最低希望販売価格が99円以上20000円までとなっている。
販促等は基本的に自分で行う必要がある。アマゾンのシステムで売れるのはメリットだが、プロモーションスキルも同時に要求される。英語が堪能であれば、英語圏すべてを市場にできる。

 

 

 


2.ブログで販売する 

 ブログを利用して販売する方法もある。ブログに無料で定期的に小説をUPし、そこに貼ったアドセンス広告などをクリックしてもらうことで間接的に収入を得る方法や、小説を書いたブログそのものを有料化して販売する方法など。PDF化したり、表紙を作ったりと色々手間のかかる投稿サイトと違い、ブログを書く感覚で発表でき、作品に集中できる。ブログなので、小説に関係する写真や絵を貼ったり、映像を貼ることで、小説の世界を多面的に展開できる。活字にとどまらない、ブログの機能をフルに活かした創作がしたい人はこの方法も選択肢の一つだろう。


 
  FC2ブロマガ 
  ブロマガ® (ブログマガジン)って何? | マニュアル | FC2ブログヘルプ

  会員登録(FC2登録 無料)

1販売につき30%のシステム使用料FC2IDを持っていれば、ブログの記事ごとに課金非課金の設定ができる。例えば数章を無料で公開し、そこから先を有料とするなども可能。ブログのデザインなどを変えて完全にあなたの小説だけを売る「本屋」を作ることもできる。


  

 

3.即売会に参加する(自費出版)

コミックマーケットなどでは、小説の販売も可能。ただしマンガ・アニメカルチャーの祭典なのでそちらの傾向の強い小説が有利だろう。いわゆるラノベ系で、イラストなどもそういう系統のもの(アキバ系)などにフィットする作家には向いている。部数はそれほど見込めないので(出て数百部程度と言われる)印刷など実費がかかる事を考えると、それなりに敷居は高い。自宅のプリンターで刷り、ホチキスで止め数百部作る手間を惜しまないのなら、安く済む。また文学専門のフリーマーケットもあるので、アニメ・マンガ文化と関わりの薄い作家はこちらのほうがいいかもしれない。
 文学フリマ - 文学フリマ公式サイト-お知らせ 

 

 


 以上、主要なサイト等、小説を販売する方法を列挙した。すでに販売チャネルはかなり充実している。市場規模もどんどん膨らみ、実際にお金になった人も出てきている。小遣い稼ぎくらいなら、案外簡単かもしれない。しかし目的はあくまで小説を書き、それを読んでもらうことだ。自分が書いた世界が人の心を動かし喜んでもらえたら、これ以上嬉しいことはない。面白かったという一言が、次の作品へのモチベーションとなる。あなた自身が「小説家」と呼ばれる日が、もうそこまで来ている。