子孫に残したいJポップの名曲 おすすめ10選

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 今回は独断と愛に満ちた、子孫に残したいJポップ名曲おすすめの10選をご紹介する。長年色々な音楽を聴いてきた。基本雑食なので(といいつつ、選んだ曲には偏りがあることはお断りしておく)クラシックから演歌まで、まだ生まれていなかった時代のものから最近の世代まで色々聴いてきたが、今回ご紹介するのはその中でも、今後何百年経っても色褪せないと私が思うJポップの10曲だ。もちろん10曲で収まるわけもなく、まだまだたくさん選びたいが、とりあえずきりのいい数字で我慢することにした。何度も言うが、完全に独断、ただ私が好きだというだけの理由での選曲なので、ご了承願いたい。

 

 


 夏なんです         はっぴいえんど

1969年から1972年まで活動したはっぴいえんど (細野晴臣(ボーカル・ベース・ギター・キーボード)大瀧詠一(ボーカル・ギター)松本隆(ドラムス・パーカッション)鈴木茂(ギター・ボーカル))2枚目のアルバム「風街ろまん」B面1曲目、1971年12月シングル「はないちもんめ」のB面としてシングルカットもされている。Jポップ黎明期にして、この先進性に驚く。あらゆるジャンルが試され円熟した現在のJポップシーンでも、彼らほどのオリジナリティを出せるバンドはそうはいないだろう。

風街ろまん

風街ろまん

 

 

 

  DOWN TOWN       シュガーベイブ

山下達郎を中心に結成され、大貫妙子、伊藤銀次などが在籍した1973~76 に活動した伝説のバンドシュガーベイブ。この「DOWNTOWN」は後に山下のライブ・アルバムにも収録され、EPOを初めさまざまなアーティストがカバーした事でも有名。CMや人気バラエティ番組のタイトル曲になったりしているので、山下の曲の中でもクリスマスイブにつぐ有名曲だろう。洋楽をベースにしつつ、日本語の歌詞で独特の世界観を作り上げたJポップ黎明期の彼らは、その後のニューミュージック、シティポップ系のアーティストに多大な影響を与えた。M7thや分数コードの多用、それまでにない洗練されたメロディラインは時代をあまりに先取りし過ぎていて、まだ硬派なロック・ミュージックが主流だった当時は「軟弱だ」「小難しい」と不当な評価をされていたようだ。

SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-

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 黄昏のビギン      ちあきなおみ

昭和にはまだ歌唱力のある女性歌手を表すdivaという表現はなかったと思うが、まさに昭和のdivaにふさわしいちあきなおみの「喝采」につぐ代表曲。あらゆるジャンルの曲を歌いこなす抜群の歌唱力はいまだに語り継がれる。叙情感豊かな「黄昏のビギン」は2016年の現在でも全く古さを感じさせない。

ちあきなおみ 全曲集 〜黄昏のビギン〜

ちあきなおみ 全曲集 〜黄昏のビギン〜

 

 

 

 横浜ホンキートンクブルース     松田優作

 エディ藩作曲 藤竜也作詞のこの曲は松田以外に原田芳雄や宇崎竜童なども歌っている。日本人が歌う歌謡系ブルースの中では、最もトラッドなブルースを感じる曲。それぞれの歌い手が自分の色を目一杯出していて、違う曲のように聞こえる。その中でも松田の歌が個人的には一番フィットする。昔の彼女を思い出しながらブツブツ言ってる酔っぱらいのおっさんの背中にブルースを感じる。

TOUCH

TOUCH

  • アーティスト: 松田優作,柴山俊之,荒木とよひさ,東海林良,藤竜也,ジョー山中,大谷和夫,鈴木茂,竹田和夫
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1997/02/21
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 幸せであるように       FLYING KIDS

平成に入った年に始まったイカすバンド天国という勝ち抜きバンド合戦番組に出て、圧倒的な存在感と曲のセンス、演奏力で5週勝ち抜き、同番組の顔のような存在だったフライングキッズの持ち曲の中でも、「この幸せであるように」は出色の出来。その独特の風貌と声で、Jファンクバンドのど真ん中を走っていくかと思われた彼らだったが、その後はファンク色を薄めていきながら10年近く活動、98年に解散。現在まで13枚のアルバムを出している。

続いてゆくのかな

続いてゆくのかな

 

 

 

 TOKYO TACO BLUES       てつ100%

てつ100%は1986年にCBSソニーよりメジャーデビューした、ジャズやブルース、ファンク、フュージョンなどをベースにした、非常に高い演奏力を誇りつつコミックバンド的な要素も持ったワンアンドオンリーなバンドだったが、やはりメインストリームは歩めず、3年ほど活動し、4枚のアルバムを残しあっという間にいなくなった。ピアノを担当していたのは、今や世界中で歌われるようになった「花は咲く」の作曲をした菅野よう子。この「TOKYO TACO  BLUES」は、東京の駅名を巧みに組み込んだ艶笑小噺的なコミックソングだが、曲自体もとても粋なジャジーポップで、杉原徹の歌唱力も抜群、笑いながら感動できる名作。YouTubeなどで彼の現在を見ることができるが、相変わらずで安心する。

てつ100%/てつ100% +1

てつ100%/てつ100% +1

 

 

 

  サンシャインロマンス    オリジナルラブ

いわゆる「渋谷系」として一世を風靡したオリジナルラブの4枚目のシングル曲(93年5月)最近はその風貌とクセのある歌い方が「ご陽気な酔っぱらいサラリーマンにしか見えない」と一部にうけて注目されているが、これが出た頃の彼はとても爽やかな青年だ。伸びやかな歌唱と曲がマッチして、夏のドライブにピッタリだ。

EYES

EYES

  • アーティスト: オリジナル・ラヴ,オリジナル・ラブ,森宣之,田島貴男,木原龍太郎,宮田繁男,吉田美奈子,村山孝志
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
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  星座を睫毛にひっかけて      キリンジ

 堀込高樹、泰行兄弟によるポップスユニット(現在泰行氏は脱退)キリンジははっぴいえんどやシュガーベイブといったJポップ黎明期の先進的な音楽を昇華して、独特の世界観を築き上げた。複雑なコードワークと難解な歌詞を高い次元でポップスの枠におさめている。キリンジはとても一曲だけ取り上げるのは無理だ。そのうちキリンジだけで10曲選びたいと思っている。そのくらいどれにするか迷ったが、とりあえずこれにした。この曲は子供を見つめる親の視点で作られている。歌詞の中に「~いろんな夢を見て隠し事をしよう」というフレーズが出てくるのだが、子供の成長を見守る親の温かさがにじみ出ていて、聴く度にぐっと来てしまう。曲自体も非常によく練られた捻りの効いた堀込高樹らしいPOPチューン。

KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration

KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration

 

 

 

   風と雲と私           熊谷幸子

 熊谷は松任谷正隆の主催する音楽スクールに入って見出されデビューした。良質なポップスをたくさん書いているわりに今ひとつ売れた印象のない彼女の曲の中で、恐らく一番商業的に成功したのがこれだろう。20年ちょっと前に「夏子の酒」というドラマの主題歌になっていたので、なんとなく憶えている人はいるかもしれない。彼女は歌もうまく、クセのない綺麗な声をしている。彼女の作る曲には破綻がない。座りの悪いコードも使わないし、こう展開してくれたら気持ちいいと思うところにさくっと展開してくれる。全てにおいてそつがない。それがかえって印象の薄さに繋がってしまったのかもしれない。

POISON KISS

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  • アーティスト: 熊谷幸子,マイカプロジェクト
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
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   くせのうた     星野源 

 30代では、星野以上に期待させる人はいない。Jポップの歴史を咀嚼した上で彼の語法で作り上げる曲の数々はどれもこれもすばらしい。キャッチーでありながら一捻りあるので、どこかで聴いたようで聴いたことがない。演技やコントもこなしライターもやるという、真の意味でのマルチタレントである彼が、これからどんな曲を書いていくのか、実に楽しみだ。

ばかのうた

ばかのうた

 

 

 


以上10曲選んでみたが、やはり物足りない。一曲選んでいると、別の曲をご紹介したくなってしまう。他にもご紹介したいアーティストはたくさんいる。大げさでなく、この時代に生まれた事を感謝したくなるほど、Jポップが生まれ進化していったすばらしい時代に自分の人生が重なった。レコード、CDの時代を経て、今や音楽はデータのダウンロードの時代に入った。さらに先日ビートルズ全曲がストリーミングに対応するに至り、音楽は所有するものでさえなくなろうとしている。それでも私達は珠玉の一曲を脳の中にとどめておきたいという欲求からは逃れられない。多くの思い出が音楽とともに記憶されているように、私達にとって音楽は、人生を豊かにしてくれる大事な友人なのだから。