2016年 元日に想う。

 21世紀が始まって、あっという間に15年が過ぎた。この間、私達の生活も劇的に変わり、すでに21世紀初頭の生活はイメージとしても、リアルな意味でも遠い過去になっている。

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 iPod classic が登場したのが2001年末。翌年3月に出た10GBのiPodは 62,800円だった。今見るとなんとも無骨なデザインだが、当時は音楽と日常の新しいスタイルに興奮した。15年を経て、昨年末ビートルズの全タイトルがストリーミング解禁となり、音楽は「手に入れる」ものですらなくなった。

 

  4:3の四角く重い箱だったテレビも徐々に薄くなり、猫がその上でくつろぐ姿がリビングから消えてしまった。4Kモニターが購入の選択肢になりつつある今、当時録りためたDVDは、まるで遺跡から発掘された貴重な過去の映像のようなテイストだ。

 

 すべてがこの15年という短い間に起こった事なのだ。30歳を過ぎると、時の進み方に加速度がつき、それ以前の15年との体感がまるで違う。ついこの前起きたと思った出来事が、平気で10年前だったりする。世界の恐ろしいほどダイナミックな変化と、自分の体感する時間が一致しない。目が回るような技術革新の波に追いついていくことに疲れ、激しい流れから自ら外れて見てみる段階に入った時に、色々なものが見えてくるようになる。

 

 その境地に達した時に、人はそれまで加えていく一方だった人生に、減じる喜びを見出すようになる。自分にとって必要なもの、大事なものだけを残し、余計なものをそぎ落としていく。それはものにかぎらず、情報、人との関係、自分を囲んでいるすべてだ。一輪挿しに美を見出し、シンプルな無地の器に反射するやわらかい光に感動するようになる。そうなることを人によっては「枯れた」と表現して嫌う。しかし、それは勘違いだ。最先端のガジェットだろうが、そこにシンプルな美を見出すことはできるのだから。余計なものを排除していくというのは、あらゆるものが溢れかえって乱雑に散らばっているこの時代に生きるためには必要な作業なのだ。

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 このブログのコンセプトはそこにある。人生にとって必要なもの、必要なこと、そして、必要な人。それを探すあなたがふと立ち寄った時、ちょっとしたヒントになる何かを見つけてもらうための路線図が置いてある「駅」だと思ってほしい。

 ここはいつでも立ち寄ることができるようになっている。いつ出発するのも自由だ。来たくなったときは、静かな電灯を目印に訪れてほしい。

 

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